「あなたは虚人と星に舞う」

あなたは虚人と星に舞う (徳間デュアル文庫)

俺たちは途中だ。

きっと、どこにいても同じだ。
無限の暗黒しかない恒星間空域の絶対真空の中でも、
地べたをはいずり回る普通の、平凡な人生の中でもきっと
どこでも変わらない。

みんながみんな、途中で生まれてきて
中途半端に生きて、途中で死んでいくんだ。
自分たちが何を目指しているのか、正確に知ることもなく。

しかし…

しかし…それがどうした。

俺たちには何もないかも知れないが、
しかし、ひとつだけはっきりしていることがある。
俺たちはこの、俺たちが中途半端だということが気に喰わないってことだ
うんざりしている。

だったら…中途半端が嫌なら、足掻いてでもなんでも、
俺たちはどっかに行かなくてはならないってことだ。