すぐそこにある未来/南極点のピアピア動画

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)

野尻抱介『南極点のピアピア動画』を読みました。
筆者はニコニコ動画上で "尻P" として動画を配信している方みたいで
日本にいるSF作家の中でも有数のニコニコ動画中毒者であるみたいです。

その作者が書いた本作は、伝統的なSFのテーマ
軌道エレベーターや自己増殖する機械、異星人との遭遇に
昨今流行のDIYオープンソース文化、そして最後
ニコニコ動画初音ミクの3つ領域をごちゃまぜにした
作られた近未来の物語となってます。

amazonの書評にて「手の届く未来」という表現が使われていますが
まさにそんな感じで、僕達が今いる現在よりも少し先の未来が舞台に
なってます。ニコニコ動画もファミマもある未来です笑

僕はこの物語がすごく好きなんですが、それは多分、
今ある技術やオタク文化、そして、伝統的なSF的テーマを題材に
ものすごく希望のある楽しそうな未来のビジョンをこの物語が
提示してくれてるからだと思います。

後、ニコニコ動画初音ミクの可能性、実際そうなるかどうかは
置いておいて「このプラットフォームにはこんなポテンシャルがあるんだよ!」
というのを教えてくれたのが大きいなーと。

ニコニコも初音ミクもどちらも正直、まだ、メジャーになりきれない
オタク文化で若者文化ですらなく、特に年配の方から
理解されずに奇異の目で見られることも多いのですが
そこで起こっていることを「オタクっぽい」とか「子供っぽい」とか
偏見のメガネを外して見てみると、実は結構すごいよ!と
前から思ってたのでなんか嬉しかったですね。

EDテーマというんだろうか?作中の最後に流れる歌が
ニコニコ動画に実際にある曲というのも
すごく興味深いです。

D

元気になれるSFでかつ、最近のDSY文化やニコニコ動画的な文化を
理解するための一冊としてオススメです。