ソード・アート・オンライン (1) アインクラッド　川原礫　恋が愛に変わっていく過程

「アクセルワールド」で第１５回電撃小説対象を受賞した川原礫の処女作。もともとはネットで公開していたものの文庫化。

新発売の次世代ネットゲームにプレーヤーとして参加したキリトは突如、ゲームの設計者が企んだデスゲームに巻き込まれる。ベータテスターとしての経験もあり、凄腕のソロプレーヤーとして頭角を現していくキリトだが、有名女性プレーヤーのアスナとパーティを組んだのをきっかけに事態は進展していく・・・。

仮想のＭＭＯＲＰＧ空間「ソード・アート・オンライン」が物語の舞台。１００階まで続く塔。そこに待つ最終ボスを倒せばクリアという設定や終盤の話の流れは、往年のゲームボーイの名作「魔界都市ＳＡＧＡ」を彷彿とさせる。

自身もネットゲーム中毒の描き出すは、架空の電脳世界の中での冒険を臨場感たっぷりに描き出すことに成功している。丁寧に作りこまれた世界設定の上に展開されるのは、主人公のキリトが女剣士アスナと出会い恋に落ちていくボーイ・ミーツ・ガールストーリー。二人の恋がやがて愛に変わっていく過程、そして物語の結末の会話がすごく丁寧に描かれていて引き込まれた。

アスナの台詞がいい。「わたしは君を守るほうだもん」とか「好きです」ではなく「愛しています」という所とか。

物語の展開にきちんとメリハリが効いた良質のライトノベル。本作が第１巻ということで、続編にも期待したい。

・電脳世界×デスゲームという題材だと、↓が名作。