ラノベで学ぶ組織の運営

すごく面白かったので、長いですがメモしておきます。
ログホラは読んでて思うのですが、こういう組織の運営的な観点が
すごく上手く描かれている点が視点として
秀逸です。

組織の中で働く自分も本来はこういう観点で
自己の所属する組織のシステムがどのように設計・運用されているのか?
上手く機能(work)している部分はどこで、逆に設計意図通りに
動作していない部分はどこか?というように
分析すると面白いのかもと思いました。

回答は多くの場合シンプルなものだ。
「今月、訓練用の代替武器は五百ほど購入する」。
それだけのことであったりする。しかし、その結論を得るためには、
どんな思考をすればいいのだろう? 思考ではなくてもいい。
議論でもいいし、計算でもいい。とにかく回答を得るためには何をすればいいだろう? 
それがリーゼにはわからなかった。


 〈D.D.D〉においてそれらの決定はほとんど半自動的なもので、
現場では希望書類を書いて提出すれば集積されて次の月には配布されていたからだ。


しかし、その種の自動的な分配処理は、〈エルダー・テイル〉外部に存在する
〈D.D.D〉公式サイトのメンバー機能によるものであった。
 〈大災害〉によってこうした外部サイトの事務支援は受けられなくなったが、
すぐさまそれで問題があったわけではない。


メンバーはそういった申請/支給という手続きに馴れていたし
自主的にそういった事務書類を作成した。
運営本部は書類を取りまとめて必要な物資を支給しつづけた。
そういった仕組みは現在も生き続けているし、
ヤマトサーバー屈指の超巨大ギルド〈D.D.D〉を生かし続ける重要な原動力となっている。


 しかし、一方でそれは〈D.D.D〉の物資調達能力がほぼ無限大であったころの仕組みだ。
「訓練用の代替武器五百」が入手できないとき、調整する機能はシステム上に存在しない。
さらにいえば、そのような既存案件の調整や変更というだけではなく、
全く新しい要望や、部門ごとの職掌をまたぐような案件が次々と生まれてくる。


 リーゼは|〈Drei-Klauen〉《三羽烏》と呼ばれる〈D.D.D〉の幹部の一人である。
このギルドの運営システム理解に対しては自負があった。
事実、外部サイトを用いた物資手配やスケジュール管理について
ギルドマスターから一任に近い扱いを受けていたのだ。


 しかし、すでに稼働しているシステム――
しかも半自動調整や事務補助を内包したシステムに乗り
それをただ管理することと、何らかの案件について
正しい解決策を探りそれを手順化し、周知し、システムとして運用可能なまでに
デザインするというのは……全く別のことだ。


ログ・ホライズン 084 ノウアスフィアの開墾
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