ココロコネクト ヒトランダム

ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)
読了しました。高校生ものなんですが、ちょっと前に読んでいた俺ガイルや俺妹みたいな青春ものとは違って、昔の電撃文庫-ブギーポップとかの頃-の様なジュブナイル的な空気感を感じます。萌えの成分が少なくて、その代わりにセカイ系ではないのだけど独特の自意識を透明に見つめる感じというか、学生の頃に感じていた閉塞感ですかね。ふうせんかずらの造形もそうですが。

登場人物は総じてみんな頭が良くて、それ故自意識の扱いに困っている感じで凄く描写が繊細です。青木の存在でバランスが取れている気がする。

自分はこういう自意識やトラウマを扱った作品が好きです。それは多分、自分の人間観と似ているからなんでしょうね。人には動機があり、その人独自の心象風景を生きていると信じてます。

自己犠牲型の主人公も最近はかなり多様化した感があり、ぱっと思いつくだけでも、fate化物語、俺ガイルなんかが思い浮かびますが、それぞれにスタイルや動機が異なっていて中々興味深いです。

本作でちょっと、おおっ!と思ったのは主人公が自己犠牲的な行動を取る動機が他の人が傷つく光景に耐えられないという自己中心的なものである、と仮設定されたところでこれは士郎なんかと比べると大分健康的な理由に思います。「やさしー狂い方」という表現も好きです。

後、P146あたりで語られる青木の人生哲学が好きです。一番心が健康なのは彼なんじゃないかなと思ったり。